>「過去の悲劇と真実」
ついに鉄平(木村拓哉)は高炉建設という夢に向かって立ち上がったのである。彼は高炉建設が成就するまでは、帝国製鉄による故意の嫌がらせを何とか凌いで行こうと従業員たちを鼓舞していた。
そして、遂に鉄平は従業員たちにも高炉建設の決定を告げたのだ。拍手と歓声で迎えてくれた従業員たちとは相反して、経理担当常務の錢高(西村雅彦)は溜息をついていた。それもそのはず、実は、メインバンクである阪神銀行からの融資の回答はいまだに届いていなかったのだ。
高炉建設の決定を聞いて何より喜んだのは、鉄平を慕っている一之瀬(成宮寛貴)だ。彼は、その決定を聞いたその日に、鉄平に妹の二子(相武紗季)と付き合っていることを伝える。
万俵家という歪んだ家庭環境で育った妹が、地位や名誉に関係なく純粋に人を好きになっているということに鉄平はとても喜んだ。
一方そのころ、父・大介(北大路欣也)にも激動の波が押し寄せつつあった。大蔵省では大臣永田(津川雅彦)がが金融再編の動きを急速に加速していたのだ。メガバンクが存在しない日本では海外からの大きな金融資本に太刀打ちできないために、12行ある都市銀行を4行か5行に纏め上げようとしていたのだ。
大介のところに、阪神銀行の大亀専務(武田鉄矢)と芥川東京支店長(小林隆)がその、吸収合併される銀行は関西の銀行ではないかと報告に来ていたのだ。危機を感じた大介は、急遽大蔵省主計局に勤務する娘婿の美馬(仲村トオル)を呼び出し、大同銀行など都市銀行の、大蔵省門外不出の極秘文書をそろえてほしいと頼んでいた。時期を同じくして、鉄平の情熱と才覚を高く評価する、大同銀行の三雲頭取(柳葉敏郎)は、鉄平の阪神特殊製鋼への多額融資を決定していた。
華麗なる家族なるが故の悲劇か?